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運動すればやせられる

ぐうたらぐうたらしながら、好きなものを食べ、スリムでいたい。これが人間のホンネです。多くの人は、ダイエットのためにハードな運動などあまりしたくはないはずです。雑誌やテレビで「運動で汗を流し、エネルギーを使ってやせよう」と言われても、日々の忙しい暮らしの中では、なかなか難しいのではないでしょうか?
ダイエットは極めて日常的な問題ですから、人間の本性に合ったものであるべきです。「少し無理をしてでもやる」という方法や考え方で実践しても長続きせず、結果的にリバウンドを引き起こしてしまいます。ダイエットは、1980年代から社会的に広まり、関心をもたれるようになりました。その間、何度となく雑誌、テレビ等のメディアが”運動をしてやせよう”と鼓舞してきましたが、20年余りが経過したいま、それを継続できている人は少ないはずです。ですから、リバウンドをしないダイエット法を実践することが大切です。
・ポイント
たとえば胸が苦しくなるような、体がいじめられるようなスポーツは一部の人しか向かない。歳をとったらすすめられない。「やらないほうがいい」といつかいわれるものを、わざわざ選ぶ必要はない。
体脂肪を燃やすには1日1万歩以上歩く

雑誌やテレビに登場する、「1日1万歩以上は歩きましょう」というダイエット法。しかしこれはとても大変なことで、継続することが難しい方法です。
暑かろうが寒かろうが、また雨風を冒してでも歩くのでは、あまりに日常生活を逸脱しています。また、毎日1万歩歩くための時間を捻出できる人が、どれほどいるでしょう。
”体を動かしてやせましょう”という方法は皆「30分以上、45分くらいは」「できれば1時間以上」などとしています。しかし何かと忙しい現代人にとって、これを実践することはとても難しいはずです。
しかもウエイトコントロールの面から見た場合、ウォーキングはジョギングなどと同様、実行中にどれだけ多くのカロリーを使うかだけに価値の基準がおかれています。ですから、やめたとたんに体重のリバウンドが起こる可能性が高いダイエット法なのです。
・ポイント
何も運動をしない人は年齢とともに調子悪く衰える、ウォーキングに励む人は調子よく衰える。ウォーキングの効果は、せいぜいその程度。また、ひざや腰を伸ばしながら大股で歩くことを続けていると、間接を傷める危険性もある。
体脂肪を早く落としたい人にはジョギングがおすすめ

「ジョギングが美容と健康によく、ダイエットにも向いている」は、大きな勘違いです。逆に、ジョギングを日々続けることで、体を壊してしまします。
体脂肪だけが燃えていくのならよいのですが、ジョギングは筋肉のたんぱく質や骨を形成しているコラーゲンまでも分解したり燃やしてしまいます。走れば走るほど、走行距離が長いほど骨がダメになり、骨折しやすくなります。きれいに、そして健康的にやせたいのなら、ジョギングはその目的にかないません。
ダイエットのために何か一つ始めるとした場合、ジョギングを選ばなければならない理由はありません。そんな無理をしなくても、やせる手段はたくさんあります。
・ポイント
過度なジョギングは骨のコラーゲン(たんぱく質の一種)の分解を促す。その結果、もう一つの主成分であるカルシウムが骨から溶け出して骨量が減少し、骨折しやすくなる。
健康のため週1回はジムでハードなマシン運動を

ジムでマシンを使う運動といっても特別なものはなく、内容はエアロバイクなどを使用するエアロビクス運動と、筋肉を鍛えるレジスタンス運動に大別できます。レジスタンス運動では主にバーベルやダンベルが使われますが、その重量が問題になります。重いバーベルなどを使ってヘビーなウエイトトレーニングさながらの運動をし、筋肉を極度に刺激すると、「白筋」とよばれる筋肉が増えます。これは体にとってプラスにならないことが多いのです。
白筋は脂肪を分解する力に乏しく、ブドウ糖の分解力も弱いので、白筋の多い人は肥満や糖尿病になりやすいため結果、動脈硬化が進んで、短命につながるからです。筋肉を鍛えるのはダイエットのためにも必要なことですが、通常のウエイトトレーニングでは、その目的にかないません。
・ポイント
筋肉には赤筋と白筋の2タイプがある。赤筋は白筋より酸素を使って体脂肪を燃やす能力がずっと高く、ブドウ糖の分解力も強い。ダンベル体操はヘビーウエイトトレーニングなどと違い、赤筋タイプの筋肉を増やす。
食べる量を減らせばやせられる

食事の量を減らす。これは体にしてみれば「エネルギーをあまり使ってはいけない」という命令を受けたことになります。そこで節約に入り、体の熱を逃がさないようにしながら熱の生産も抑え、できるだけ体温を低くします。この働きは筋肉を減らす、毛細血管を閉鎖する、血液循環を悪くする、赤筋を白筋に戻す、などよい効果はありません。
しかしふつうの人は食欲に負け、こんなことで死んでしまうなら食べて死んだほうがマシだとばかりに、ガバッと食べてしまいます。本来なら、体は食べ過ぎたエネルギーをむだに燃やす力を持っていますが、減食でその力を放棄すると、食べた分だけでドンドン蓄積、つまりリバウンドに遭遇します。減量するときは、筋肉や骨など大事なものを失いながら長時間かかるのに、体重が戻るときはあっという間で、それもぜんぶ脂身で戻ってくるのですから大変です。おいしいものをおいしく食べる。これがダイエットの基本なのです。
・ポイント
基礎代謝とは生命維持に必要な体の働き、つまり体温を保ったり呼吸するために使われるエネルギーのことで、1日の消費エネルギーの6~7割を占める。食べる量が少ない基礎代謝が低下し、基礎代謝でも運動でも消費しきれなかったカロリーは体脂肪となる。
ご飯の量を減らせばやせられる

基本的にいえば、ご飯は太る原因にはなりません。
ご飯、つまり炭水化物の体内での行き先は、多方面に用意されていて、脂肪に行く道もあれば、たんぱく質、グリコーゲンに行く道もあります。特徴としてはエネルギー源に非常になりやすく、熱として放散され、カロリーが体にたまりにくいということです。
体内で自由自在に活躍できるものをカットするのは最悪です。炭水化物をとらないことのマイナスは計り知れません。刺身に味噌汁、野菜の煮物にお新香という低カロリーの献立がおいしく食べられるのも、ご飯があってこそです。カットすべきなのは炭水化物ではなく、脂肪なのです。
・ポイント
ご飯好きに吉報!炭水化物が多く脂肪が少ない食事をとると、1日(特に睡眠中)のエネルギー消費量が大きくなる。トンカツを食べる代わりにご飯をちょっぴり、といったダイエットは効果がない。また、たんぱく質どっさり+ご飯少々、もダイエットにはつながりにくい。
やせるにはカロリー計算が必要

ウエイトコントロールのための食生活を、カロリー計算しながら営む必要はありません。”これ以上食べれば太る”ということは、本人がいちばんよくわかっているはずです。体重が増え続けているなら、食事量を少し減らせばいいのです。それで止まれば、摂取と消費のつじつまが合ったことになります。
カロリー計算が煩わしくない人は、ダイエットにとり入れてもかまいませんが、数字に縛られて食生活を営むのは考えものです。「食事が楽しい」「おいしく食べると、バリバリがんばれる」という心身の感覚を大切にしないと、ストレスがたまります。たくさん働いて消耗したときには、糖分をとり、疲労回復を促しましょう。数字にとらわれて柔軟性を失ってしまうと、「カロリーオーバーだからだめ!」と、体の自然な要求を無視してしまうことにもなりかねません。
・ポイント
カロリー計算をするうちに、口に入ったカロリーはすべて蓄積すると錯覚し、拒食症に陥った女性、今日は何キロカロリー食べたから何キロ走らなければならないと考える人。カロリー計算はダイエット成功どころか、悪い結果を引き起こすこともある。
やせたい人は夕食をできるだけ軽くする

寝る前の食事は肉や魚など、しっかりとらなければいけません。筋肉や骨は、夜間の睡眠中に最もつくられやすく、睡眠中に活発になる体内でのたんぱく質合成を促進させるためです。
夕食を軽くしてやせることはできます。しかし、体重が軽くなることと、体脂肪が減ることとは意味が異なります。肝心なのは中身であり、「何がやせるか」ということなのです。
軽い夕食は確かに体脂肪を減らしますが、筋肉や骨などを同時に減らしてしまいます。だれでも夕食はおいしく、たっぷりと食べたいはずです。この欲求を満たしながら、体脂肪だけを減らす正しいダイエットを実践しましょう。
・ポイント
基礎代謝に充てられるエネルギーのうち、35%前後は筋肉で消費される。つまり、間違ったダイエット法で筋肉を衰えさせてしまうと、エネルギー消費の悪い(太りやすい、リバウンドしやすい)体になってしまいます。
体脂肪は何のためついている

体脂肪は、つき過ぎると体形を崩し、成人病の危険因子にもなるため目の敵にされがちですが、一方で大切な役目も担っています。まず、不足したエネルギーを補います。たとえは、十分な食事量がとれなくなる手術のときなどには、体脂肪が一定量貯えられていて、体力がついていることが条件になります。また、体脂肪は断熱材としても働き、体温をコントロールするのに役立っています。さらに、内臓を一定の位置に支える役目も果たしています。
女性の場合は、男性ホルモンを女性ホルモンに変化させる組織でもあり、妊娠や授乳中は体脂肪がつきやすくなります。また、プロポーションを美しく保つためにも、適度な量の体脂肪が必要です。極端に体脂肪を減らすのは健康にとってマイナスになりますから、ダイエット中は気をつけましょう。